当初、社員は何人いたのですか。
岡田社長 スタート時点は14、15人ですね。
14、15人のスタッフで、ディプスファンタジアはできる体制だったのですか。
岡田社長 追加で必要になったら補充する予定ではありましたけど、14、15人では難しいかなという状況でした。
そのような状況で、業界的にも注目のタイトルを、しかも創業したばかりの新しい会社の社長になって開発するというのは、プレッシャーもあったと思います。どうしたら成功するとお考えになりましたか?
岡田社長 その当時流行っていたオンラインゲームは、「ウルティマオンライン」と「エバークエスト」というアメリカ産のゲームでした。大規模型で、しかも日本人が作ったゲームというのはほとんどありませんでした。アメリカのゲームはグラフィックやキャラクター、インタフェースは、日本人向きではなかったものですから、それを日本人向けにしただけでも、ある程度、人気は出るだろうとは思っていました。
それと、私はヘッドロックに入社するまで、ある程度時間が取れる状態でしたので、「ウルティマオンライン」をかなり遊んでいました。ですから、「自分ならこうする」というオンラインゲームに対する制作イメージがありました。
また、長い間ゲーム企画携わっており、「日本人好み」のオンラインゲームを作るということに対する自信はあったので、商品の企画は心配していませんでした。
問題は、日本にはオンラインゲームを作ったことがある技術者がほとんどいなかったことです。当社の社員も家庭用ゲームのRPGの制作経験はあっても、オンラインゲームの制作は初めてという社員ばかりでした。
そのような社員は、基本的なスキルがあるのはわかっていても、オンラインゲームの制作経験がないということで、不安はありました。ただ、何でも何かを始める時には、そのような不安はあるわけですから、チャレンジしたわけです。
サーバーやネットワークに関連するところがゲームの中身よりも大変だったということですか。
岡田社長 はい。当社の社員は全員中途入社で、(家庭用ゲームの)RPGの制作経験者でしたから、RPGを作ること自体には不安はなかったんですね。不安なのは、制作するのがオンラインゲームであるということだけでしたが、やはりそこは大変苦労しましたね。
何回もサーバーの設計およびプログラムの担当者は替えています。最後、作りきってくれた社員と出会うまでは二転三転があって、システムを丸ごと破棄することもありました。
「ディプスファンタジア」の時はプロデューサーとして、全部ご自身で指揮されたのですか?
岡田社長 そうでもないです。経営もしなければなりませんから、制作の体制をつくった後は現場のスタッフに任せました。「ディプスファンタジア」はサービスインしたのが2001年12月でした。そこから先は運営が始まりますが、運営作業も未体験なんですね、社員全員。
(家庭用)ゲーム業界の人間は、作り終え、マスターロムを出すと、「みんなで休んで遊びに行くぞ」みたいな風習があります。オンラインゲームはマスターを出したあとが勝負みたいなところがあるので、実際にサービスインしたら、今度は私が陣頭指揮を執るという感じでした。
ですから、ディプスファンタジアに関しては、制作の責任者は現場のスタッフでしたが、運営の責任者は私だった、みたいな感じですね。
結果的には予想通りの利用者数だったのでしょうか。
岡田社長 今では考えられないことですが、当時のオンラインゲームはパッケージのみで売っていましたが、ほとんど売れ残らなかったので、タイトルとしては成功ということになると思います。
最初はいろいろと苦労されたのですね。現在、稼働しているタイトルは何タイトルですか?
岡田社長 稼働しているのは4タイトルです。
売上の構成でいうと、オンラインゲームはどの位を占めているのでしょうか。
岡田社長 そうですね、7割ぐらいです。
今後もオンラインゲームが主軸であることは、変わりませんか。
岡田社長 はい。しばらくは変わらないと思います。
オンラインゲームという部分では、ノウハウなどは他社よりあると言えるのですか。
岡田社長 他社のことは、公知になっている範囲内でしか分りませんが、オンラインゲームの制作経験に加え、現在実際に制作しているタイトル、特にMMOGという大規模接続型のオンラインゲームの制作ノウハウは、他社を圧倒していると思います。
社長がゲームづくりの中でこだわっていることを教えて下さい。
岡田社長 グラフィックデータがどうこうとか、細かな仕様がどうこうとか、それは二次的なもので、「面白いかどうか」に一番こだわっています。自分が面白いと思ったものをとことん死ぬ気で考えることですね。
他のゲームをやっていて、自分が面白いと思った瞬間があったら、それをそのまま真似するのではなく、なぜ面白いと思ったか、どこが面白いと思ったか、細かな事でも1週間ぐらい死ぬほど考えるんです。
そうすると、次の企画に活かすことができる。
それが僕のゲーム開発に対する基本的な考え方ですね。「普段の行動がすべてを決める」と思っていて、何も考えていない状態から、いきなり面白い企画を出そうとしても、良い企画は出てこないと思います。常に考えていることが面白いものを生み出すことにつながると思っています。
現在も、タイトルはチェックされるんですか。例えば、企画の段階で必ず社長がチェックするとか。
岡田社長 チェックはしません。それをやると僕色のものしか作れないので。制作は開発現場に任せています。各部長にも押しつけるなと言っているんですね。
同じようなゲームは1個しか要らないので。
立ち上げ時や、制作中、運営中に、どうしてもうまくいかなくなる時があるわけですね。その時に現場から要請があれば、初めて手伝います。
それは、クライアントとの契約交渉の時もあれば、開発体制の編成のこともあるし、場合によっては「どうしてもこのスキルが1個思いつかないので、社長考えてください」と言われれば、「この職業にはこのスキルがいいんじゃないの」みたいなアイディアを出すこともある。だけど、要請がなければ出しゃばらない。私が出ると、「社長が言ったことだから」とみんなが頼ってしまったり、参考にしてしまったりしがちです。ですから、あまり口を出さないようにしています。
できたものを見て、あとで、ここはこうしたらもっとよかったのに、と思うことはあるんじゃないですか。
岡田社長 しょっちゅうありますが、口には出しません(笑)。